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書くたびに何かがなくなっていくような気がして

もったいない捨てられていく気持ちたちが

たくさんあるなって

Takahashi Yui

Vol.03

高橋ゆい

生年月日:1995年12月7日

年齢:25歳

出身地:北海道

家族構成:母親、父親、2つ年下の妹と私

職業:小説家

Q.嫌いな食べ物

A.トマト。

Q.毎日必ずすること 

A.柔軟体操。
Q.忘れられない記憶 

A.妹が先に叩いてきたからやり返したら母に怒られた。

Q.得意なこと

A.けん玉。
Q.10年後の自分は何していると思う
A.今と変わらず物語を書いている。

Q.5000万円もらったら何に使う

A.自主制作で短編集の本を出す。

Q.特別な能力を持つならどんな能力を持ちたい 

A.:気分次第で髪の長さを毎日変えられる。

自分の考える時間とか本当の気持ちみたいなものを

噛み砕く時間がなくなっているような気がして

SNSでは本当の気持ちは絶対に伝わらないから

書くたびに何かがなくなっていくような気がして

もったいない捨てられていく気持ちたちがたくさんあるなって

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小さい時、私は自分のことを普通に元気な子って思っていたんですけど、周りからは内気な子だと思われている部分がありました。

それを考えたことがあったんですけど、

行動とかする前に自分の中で考え込む癖があって、

周りからは自分が考えているってことが見えないから、

あんまり喋らないなって、思われることが多かったんだと思います。

結構、友達とか親を少し離れたところから観察しているような子でした。

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幼少期の頃から人を観察することが多かったし、

今も同じように人の気持ちとかを観察しているなって。

人の些細な気持ちの変化とかに敏感で、汲み取ることができるというか。

今は特に自分の気持ちをすごく観察していると思うんです。

日常の中で起こるちょっとイラッとくる瞬間とか違和感とかを削ぎ落としたくなくて。

階段を最後まで降りきったと思ったけど、

まだもう1段あったっていうような

あのフワッとする感覚とか、そういうむちゃくちゃ小さい事だけど、

その些細な感触みたいなのをしっかり残すことを心掛けてます。

私は結構インドアなんですけど、別に友達と話すの嫌いとか、人と話すのが苦手とかではなくて。

ただ、どっか外面で頑張っちゃってる自分がいるような気がして、

それが嫌いとかではなくて、そういう頑張っちゃっている側面を削り落としたくないなって。

すごい良いことが起きた1日の中でも、全部が良いなんてないと思うんです。

楽しかったなと思える日でも、これはちょっと嫌だったなって事はあると思うから、細かい嫉妬しちゃう気持ちとか。

人の幸せをすごく喜んでいる自分もいるけど、内心すごい焦るとか、なんかそういう気持ちとか描写を大事にしたいと思っています。

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日常の中のそれこそ友達とつながっているようなSNSだと、

言葉を載せる場合に、自分が嫌だったこととか、悲しかったこととか、嬉しかった事を短い言葉で、投稿してて。

それを読む側は全部を汲み取って読むわけでもないし、書ききれていないこともあるし、

違う意味で読み取られしまうみたいなのもあって。

そういう消費のされ方みたいなのも面白いけど、怖い部分だなとも思っています。

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自分の中で感じていた、気持ちとかを瞬時にカテゴライズしてSNSに載せて、

それを消費してもらうっていう行為をする事で、

自分の考える時間とか本当の気持ちみたいなものを噛み砕く時間がなくなってるような気がして。

本当の気持ちは伝わらないから、特にSNSでは絶対に伝わらないから、

書くたびに何かがなくなっていくような気がして、

もったいない捨てられていく気持ちたちがたくさんあるなって

いつも読むたびに思います。

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SNSにはいろんな人の意見が溢れてて、良い悪いっていう意見が一目でわかるし、今流行っている言葉とかも見える。

そういうものが手軽に手に入ることによって、人の意見を聞いてから、

自分の意見があるって形にならざるを得ないから、

みんなの意見の中の1つの意見にならざるを得ない。

なんかそういうどんどん移り変わっていくっていうのが、魅力だし特徴だと思うけど、

なんか迷子になりますよね。

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最後に「高橋ゆい」をあなたはどうみていましたか?

 高橋ゆいとして話し始めた時、最初は自分ではない架空の人物の話をするんだという気持ちが強くて、話を作る事にすごく集中してました。でも話を進めていくうちに、段々と自分自身の意見が混ざってきているなと感じる部分があって。

高橋ゆいの言葉は私自身の言葉でもあるし、私が実際に考えている事の一部です。

でも、やっぱり思っていることを全部言葉には出来なくて。

この企画では、今ある言葉を自分の考えと近いものに当てはめるっていうことを意識してすることが多くて。

その中で、言葉に当てはまりきらなかった小さなものとか、言葉にできなかった気持ちとかは削ぎ落とされて、伝わらなかったものとして自分の中に残る感覚がありました。

SNSでは、自分がどう思ったのかを感じきる前に人の意見が目に入っちゃうから、段々、最初にどう思っていたのかが分からなくなっていって、

こういう、高橋ゆいのSNSに対する気持ちは、私が普段感じていることだと思いました。

これが自分の意見だって、強く思っていることでも、すでに他の人の意見に影響を受けた後だったりして、分からなくなって。

自分の意見が本当は強くあるのにちゃんと見えなくて、はっきりしなくて。

だからSNSに気持ちを込めた文章を書くことが怖いなと思うことがよくあります。

自分の気持ちを伝えようと思って、言葉を選択して載せたり、文章にしたりするんですが、

でもそれをすることでどんどん伝わらなくなるっていうか。

自分がどんどんなくなっていくような気がして。

だから、日常の中で感じているような違和感、些細な感触みたいなものとかを大切にしていて、

友達とか、恋人との時間とかって、思い出になると楽しかった時間だったり、嫌な時間だったりすると思うんですけど、そういうレッテルを貼りたくない。

その時間の中にある絶妙な違和感に蓋をしないで、そこで感じたこととかが一番自分の大切な部分なのかなって思います。

企画・撮影:川村拓希

スタイリング:門脇玖瑠実

2020年11月14日9時55分 35°41'26.5"N 139°42'09.5"E

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