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『箱男』安倍公房

 

段ボール箱を被った男の話。

 

箱を被ったトタン。

高い匿名性を発揮し、箱男は純粋に外界を覗くだけの視点となる。

 

そして前触れもなく視点が入れ替わり、次々と時間がずれていく。

視点と時間の激しい回転の先に新しい体験を与えてくれる。

 

それに今では誰もが箱を被っている。

なんなら複数の箱を後生大事に抱えていたりするんだから、

いずれ自分と他人の箱とを間違えかねない。

 

街は見えない箱で溢れかえっていて、

全ての空間を埋めつくそうと新しい箱が続続積み上げられていく。

 

私はただそれを視ている。

​長田千輝

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